電話で相談 見学相談

教えて!BRIDGE

〜わかりやすくカンタンな「療育」の話〜

子どものADHD(注意欠如・多動性障害)とは?行動の特徴や接し方まで詳しく解説

忘れ物が無くならない、授業中に出歩いてしまう、学校の勉強についていけないなど、子どものしつけに悩んでいる保護者さまも多いのではないでしょうか。
何度言っても改善されない、年齢に相応しくない行動が続く、そういった場合は、発達障害の一つであるADHD(注意欠如・多動症)が原因の可能性があります。

 

この記事では、ADHDとは何なのか、どういった症状があるのかを詳しく説明した上で、ADHDの子どもとの接し方や治療に関してもお話ししていきます。
「もしかしたらウチの子ADHDかも」「ADHDの傾向があると言われたけれど、どう接したらいいのかわからない」そんな不安や悩みを抱えている方は、ぜひ最後までお読みください。

 

 

●ADHDとは(注意欠如・多動性障害)とは?

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは発達障害の一種です。人口調査によると子どもで約5%、成人では約2.5%にADHDの症状があるとされています。症状は大きく分けて3種類あり、場合によっては家庭や学校での日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)には3つの種類がある

ADHDには「不注意(集中力がない)」「多動性(落ち着きがない)」「衝動性(感情・欲求のコントロールが苦手)」の3つの症状があります。症状の現れ方によって「不注意が優勢」「多動性・衝動性が優勢」「不注意と多動性・衝動性が混在」の3つのいずれかに分類されます。

 

・不注意が優勢

「不注意」の症状が強く、「多動性・衝動性」の症状があまり強くない、もしくはほとんどないタイプです。気が散りやすく集中力がない一方で、自分の好きなことに取り組んでいると話しかけられても気が付かず、周囲から「無視をした」と誤解されることもあります。

 

・多動性・衝動性が優勢

「多動性・衝動性」の症状が強く、「不注意」の症状があまり強くない、もしくはほとんどないタイプです。常に動いていないと気分が落ち着かないだけでなく、感情や欲求のコントロールが苦手なため、学校など集団生活の中で困難が生じます。

 

・不注意と多動性・衝動性が混在

「不注意」と「多動性・衝動性」の症状が両方あるタイプです。一人ひとりどの症状が強く出ていて、どういった行動をし、どんな困難が生じるかは異なります。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ子どもの4つの特徴

ADHDを持っているかどうかは見た目では判断できないので、困っていることになかなか気が付いてもらえない子どもたちが多いのが現状です。またADHDの症状が原因で苦手なことも、周囲の人たちからは「ふざけているだけ」「努力が足りない」「しつけの問題だ」と誤解されることがよくあります。ここでは主なADHDの特徴を知ることで、子どもたちが抱えているかもしれない困難について理解を深めていきましょう。

 

・その1:落ち着きがなく集中が続かない

すぐに気が散り違うことを始めてしまうなど、集中力が続かずコツコツ物事に取り組むことが苦手なのも、ADHDの特徴の一つです。宿題を提出期限までに終わらせられないなど、学校生活にもネガティブな影響が出ます。また大人になると、重要な書類の提出期限を守れず、信頼を失うといったことも起こりえます。
他にも、常にそわそわと手足を動かす/じっと座っていられない/机や椅子をガタガタ揺らす/近くにあるモノを常に触っている/貧乏ゆすりをする などの行動をとってしまうため、周囲から落ち着きのない人という評価をされてしまうこともあります。

 

・その2:なくしもの、忘れ物が多い

宿題をやり忘れる、授業に使うものを家に置いてきてしまう、学校からのプリントを親に渡し忘れるといったことを頻繁に起こしてしまいます。ですが、両親や学校の先生などのサポートによって、子どもの頃はそれほど困らず生活できる人も多く、大人になってからADHDの症状であったと気が付くケースも少なくありません。

 

・その3:ルールや時間を守ることが苦手

集団生活の中でのルールを破ってしまったり、約束事を守れなかったりするのもADHDの症状によるものです。集中力のなさや、物事を整理し順序立てて考えるのが苦手なことが、ルール・時間を守れないことにも繋がっています。

 

・その4:ケアレスミスが多い

細かいことをチェックするのも苦手です。学校生活ではテストなどでのケアレスミスが目立ちます。また大人になると資料などの小さなミスが頻発し、「仕事ができない」というレッテルを貼られてしまうこともあります。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)の原因

行動などをコントロールする脳の神経系、特に前頭葉の働きが弱いことがADHDの原因ではないかとされています。前頭葉は、物事を整理し論理的に考える、集中力を持続させる、行動のコントロールをするといった役割を司る部分だからです。

 

では、なぜ前頭葉の働きが弱くなってしまうのか。それに関しては、実はまだはっきりとしたことは分かっていません。遺伝として持っている要因と、育った環境による要因が作用し合うという考え方が現時点では主流な考え方です。ですから、自分のしつけや教育のせいであると思い込まず、さまざまな要因が影響し合っていると考えてください。

 

また、男女によって発現率の違いも見られ、男:女の比率は小児期だと2:1、成人期だと1.6:1です。さらに女性は男性よりも主に「不注意」の特徴を示す傾向が強いということもわかっています。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ子どもとの接し方

子どもたちの問題行動がなかなか改善されず、「何度も同じことを言わせないの」「同じ失敗を何回するの」など、強く叱ってしまう保護者さまも多いと思います。また、将来のことを考え、あえて日常的に厳しく接している方もいらっしゃることでしょう。ですが、あまりに強く叱ったり、怒ったりすることは、むしろ逆効果になってしまうこともあるため注意が必要です。
そうした注意すべきことも踏まえて、ADHDの子どもとどう接していくべきなのかを具体的にお教えしていきます。

 

・過度なしつけをしない

これまでも話してきましたが、ADHDの子どもができないことや苦手なことがあるのは、保護者のしつけが悪いからでも、子ども本人の努力が足りないからでもありません。脳の機能の偏りや発達の遅れによるものです。
そうした自分の努力ではどうしようもないことに関して何度も怒られると、子どもたちは強いストレスを感じます。そして、徐々に自信が失われていき、「どうせ認めてもらえない」と何かに取り組む意欲もなくなっていきます。さらにエスカレートしていくと、不登校や引きこもりに繋がる場合もあります。またストレスが、他の子を叩いたり、悪口を言ったりといった形で現れる場合もあります。

 

・ADHDの特性と子どもの行動を理解する

ADHDの子どもたちは、その症状からどうしても学校などで叱られる場面が多くなってしまいます。ですから、まず保護者さまは我が子のADHDの症状の理解に努めてください。そして、できないことに関しては一緒に対策を考え、ポジティブな言葉をかけることを心掛けてください。また学校の先生などに、その症状や対策を共有し、理解をしてもらうことも大切です。

 

・子どもができていることに着目する

まわりの子と比べてしまい、できないことに目が行きがちになるのは仕方のないことではありますが、できることやできるようになったことに目を向けるようにしてみてください。そして、しっかりと褒めてあげてください。子どもたちの中で、成功体験が積み重なっていくと、それが自信となり、やる気に繋がっていきます。また自分の好きなことには驚くべき集中力を発揮する子もいますので、子どもの好きなことを応援し、強みを伸ばしてあげることも大切です。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)を前向きに捉えることもできる

例えば、「衝動性」も適切な方向で力を発揮できるよう工夫すれば、「行動力がある」と前向きに捉えることができます。

 

他にも、
物事をやり遂げられない→切り替えが早い
おしゃべりが多い→積極的にコミュニケーションを取れる
質問が終わる前に答える→すばやく反応できる

 

など、ネガティブな面だけにフォーカスするのではなく、ポジティブに捉えるように意識することがとても大切です。実際に、ADHDの特性を自分の強みとして活かしながら、社会で活躍している人も大勢います。

 

 

●ADHD(注意欠如・多動性障害)は治療できる?

ADHDの治療は完全に症状を無くすことを目指すものではありませんが、いじめや不登校などの二次的な問題を防ぐために有効です。

まずはADHDの診断を受けるために、精神科・神経科・心療内科などを受診してください。治療は医師と相談しながら、一人ひとりに合わせた計画に沿って行っていくことになります。

 

治療には「療育(発達支援)」と「薬による治療(薬物療法)」があります。
療育(発達支援)では、その子が安心して過ごせる環境を整えた上で、対人関係能力や社会性などが身に付くように支援が行われます。さらに保護者がADHDの子どもとの適切な関わり方を学ぶ、ペアレントトレーニングというプログラムもあります。

 

また、必要に応じて、薬による治療(薬物療法)も併用されます。
医師と相談しながら、現在の状況に合わせて適切に薬を処方してもらいましょう。基本的には、療育だけでは症状の改善ができない場合に、ADHDの症状によって生じる二次的な問題(人間関係のトラブル・自尊心が著しく低下するなど)を防ぐために、薬物療法が用いられることが多いです。

 

・療育施設で社会で必要なスキルを身につける

ADHDの子どもへの早期療育はとても重要だと言われています。早期療育を行う場所としては、児童(子ども)発達支援センターや放課後等デイサービスがあります。集団療育や個別療育が必要な子どもたちが通所し、日常生活や学校生活で必要なトレーニングを受けることができる場所です。
自分のADHDの症状を「自分らしさ」として受け入れ、「強み」として解釈できるようにし、さらに周囲と良好な関係を築けるように成長をサポートします。そして、ADHDと上手に向き合い、落ち着いた日常生活や学校生活を送れるようになることを目指していきます。

 

 

●まとめ

今回は、子どものADHD(注意欠如・多動性障害)に関して、行動の特徴や接し方まで詳しく説明してきました。
お話ししてきた通り、ADHDはまわりから気が付いてもらいにくく、困難を抱え人知れず生きづらさを感じている子どもたちも少なくありません。
また、厳しく叱ったり、しつけたりすることが、マイナスになることもあります。ですから、まずは我が子をしっかりと観察し、ADHDの症状を理解してあげてください。そして、自信を持って前向きに生活できるようなコミュニケーションを取り、寄り添うことを心掛けてくださいね。また、悩んだ時は抱え込まずに、地域の児童(子ども)発達支援センターなどに相談することも検討してみてください。

 

私たち、株式会社ダンデライオンは千葉市で児童発達支援・保育所等訪問支援・放課後等デイサービス「BRIDGE」を運営しています。

療育に関する様々な情報発信はもちろん、療育のご利⽤を検討されている保護者様からのご相談や施設のご見学も随時受け付けております。

スタッフの採用も随時実施しておりますので、ご興味のある方はぜひHPもあわせてご覧ください。

 

この記事に関連する投稿

統合がうまくいかないと、生活していく上でさまざまな困難が生じます。今回は統合とは何か、そして感覚統合を促す方法について詳しくご説明していきます。最後までお読みいただき、感覚統合への理解を深め、子どもが楽しく取り組める遊び …
この記事では、児童発達支援や、放課後等デイサービスなどを利用する際に必要な「受給者証」について、わかりやすく解説していきます。最後までお読みいただき、子どもたちが発達支援を受けるのに欠かせない、受給証の申請取得の手続きや …
バルシューレは、ドイツ生まれの教育プログラムのこと。最近では子どもたちのスポーツに対する興味を引き出すための有効な手段として、日本でも注目を浴びています。今回は、バルシューレはどんな効果が期待できるのか、そして実際のプロ …

人気の#タグ