子どもの発達には個人差があるとはいえ、周りの子と比べて言葉が遅れていると、保護者さまは不安になってしまいますよね。そこで今回は、言葉の発達が遅れる原因と3歳児におすすめの言葉の発達を促す方法をご紹介していきたいと思います。
【年齢別】子どもの言葉の発達目安
一般的には、年齢が上がるにつれて、言葉の発達は進んでいきます。ですが、個人差が大きいため、何歳だとここまで話せる、といった基準はありません。おしゃべりをはじめるのが早い子もいれば、遅い子もいますし、徐々に発する言葉が増えていく子もいれば、ある日急に話しはじめる子もいます。そのため以下に記載してある発達の目安も、個人差があることを前提に一つの参考として、ご覧いただければと思います。
1~2歳ごろ
1歳を過ぎると、「まんま」「ぶーぶー」など、一語文を話しはじめます。さらに1歳半〜2歳くらいになると「まんま ちょうだい」「ぶーぶー いた」などの二語文が出はじめます。徐々に会話らしい会話ができるようになり、コミュニケーションも取りやすくなっていきます。
また、絵本を楽しめるようになったり、簡単な歌を歌うようになったりするのもこの時期だと言われています。
2~3歳ごろ
2歳〜2歳半くらいになると、三語文を話せるようになってきます。例えば「ママ ごはん たべたい」「あかい ぶーぶー あった」などです。
さらにママやパパの言うことに対して、「なんで?」と聞いてくることが増えてきます。これは、自分のまわりのことに関して興味関心が生まれ、さまざまなことに疑問や好奇心を持つようになったことのあらわれです。
言葉の発達にも繋がりますので、なるべく子どもたちの質問には答えてあげるようにしましょう。
3歳以上
3歳以上になると、よりしっかりと誰もが理解できる言葉でお話しするようになります。「ママとパパと すべりだいあるこうえんに あそびにいった」など、主語や述語を含む複文を使うようになっていきます。またお友達や保育園の先生など、ママ・パパ以外の人ともお話しするようになり、さらに言葉の発達が進んでいきます。
言葉が遅い3歳児の特徴とは?
「聴力」「知能」「発声のための運動能力」「言葉を話したいという欲求」の4つが言葉の発達には欠かせません。4つのうちいずれかの要素に問題があると、発達が遅れる要因になることがあります。
3歳児の言葉が遅れる原因として考えられる可能性
前述した目安と比べて大幅に言葉の発達が遅れている場合は、以下で紹介する原因のいずれかに該当する可能性が高いです。
性格や環境によるもの
性格が内向的な大人しい子は、自分から話そうとしない傾向が見られます。そのため、周りの同じ年齢の子と比べて、言葉の遅れを感じることが多いかもしれません。ですが、呼びかけにしっかりと反応し、こちらが話していることを理解できているようだったら、特に心配する必要はありません。
環境によって、言葉が遅れてしまう場合もあります。子どもが何かをしてほしいと思った時に、言葉にする前にママやパパが先回りして行動してしまうような環境にいると、日々言葉を話す機会が失われていきます。また、言わなくてもやってもらえる、という意識を植え付けてしまいますので注意が必要です。
誰かと話したり、話しているのを聞いたりすることで、言葉の発達は進んでいくものなので、そのきっかけを失ってしまうようなことは、普段からしないように心がけていきましょう。
聴力に問題がある
文字が読めない子どもは、耳から聞いて言葉の意味を理解していきます。そのため、聴力に問題があると言葉の遅れの原因になります。
名前を呼んだ時に反応がある場合は特に心配する必要はありませんが、注意深く子どもを観察してみることが大切です。
言葉を聞き取れるが理解できていない
意味が理解できていない言葉は、使うことができません。そのため「ママ」「パパ」「くるま」「おいで」など、同年代の子が使っているような言葉の意味を理解できているか確認してみるといいでしょう。
言葉は理解できるが表出していない
言葉の意味は理解できているものの、それを言葉にしていないだけの場合もあります。この場合、何かのきっかけで急にたくさんおしゃべりし出し、言葉の発達が周りの子に追いつくことも少なくありません。
発達障害や知的障害
自閉症・アスペルガー症候群・学習障害・ADHDといった発達障害により、言葉の発達が遅れている場合もあります。ただし言葉の発達には子どもの数だけ成長の仕方があると言われているため、言葉が遅い=発達障害ではないので注意が必要です。
もし言葉以外にも気になる行動などがあり、不安があるのであればかかりつけの小児科などに相談してみるといいでしょう。
他にも定期検診の際に話したり、保健所に相談してみるなど、一人で抱え込まずにさまざまな意見を取り入れてみてください。焦らずじっくり子どもの成長に向き合おうとする気持ちが大切です。
言葉の発達を促すコミュニケーションの取り方とは?
発達障害や知的障害の場合は専門的な治療教育などが必要になりますが、それ以外のケースにおける言葉の遅れは、日常生活のコミュニケーションの取り方を工夫するだけで改善することも可能です。
積極的に話しかける
見ているものと耳から聞いた情報を結びつけて言葉を覚えていくので、日頃から積極的に話しかけることはとても大切です。年齢に応じてわかりやすい言葉や表現で、身の回りにあるものや興味を示したものを説明するといいでしょう。
子どもの身振り手振りを実況する
子どもが身振り手振りで行っていることを、実況してあげてください。自分の行動がどういったことなのかを理解することは、語彙力を伸ばすことに繋がっていきます。
子どものおしゃべりに相づちを打つ
話したことに対して、ママやパパが反応をしてくれると、それが話す喜びへと繋がっていき、話したいという欲求になっていきます。そのため、子どもが何かを話した時には必ず相づちを打つようにしてみてください。
子どもに質問を投げかける
日頃から、子どもの言葉を引き出す質問を投げかけることを意識してください。「いる」「いらない」などの2択で答えられる質問からはじめ、発達の段階に合わせて「どうしたの?」「何をして欲しいの?」といった聞き方に変えていくといいでしょう。
楽しみながら言葉の発達を促すには?
話すことが楽しいと思えれば自然と話す回数は増えていきます。具体的には以下のような方法がありますので、ぜひ実践してみてください。
【性格に変化をもたらす】同年代の子どもと遊ぶ機会を増やす
保育園や幼稚園に入ると、急におしゃべりが上手になったとびっくりされる保護者さまもいらっしゃるほど、同年代の子どもと遊ぶ機会が増えることで言葉は発達していきます。
それは、言葉にしなくてもママ・パパには伝わっていることも、同年代のこどもたち相手にはしっかりと説明しないと伝わらないため、自然と言葉を使う機会が増えるからです。
保育園や幼稚園はもちろん、地域の児童館や公園に遊びに行き、同年代の子どもと関わる機会を増やしてみてください。
ただし、発達障害の疑いがある子どもの場合は、集団に入ることが難しいこともあるので、専門機関に相談の上、適した環境を用意してあげてください。
【語彙力や理解力を伸ばす】絵本の読み聞かせをする
普段、ママ・パパとの会話の中では登場する言葉には限りがありますが、絵本の中には、初めて出会う言葉や少し難しい言葉も出てきます。そのため、語彙力を伸ばすのにとても効果的です。また絵本の読み聞かせはママやパパとのコミュニケーションのきっかけにもなり、想像力を豊かにする効果も望めます。はじめは意味が理解できていなさそうでも、説明しながら繰り返し読んであげることで少しずつ理解できるようになっていきます。
【言葉の表出を促す】口回りの筋力を鍛える
口まわりの筋肉を鍛えることも言葉の発達を促す方法の一つです。楽しくないと継続できないので、遊びを交えながらやってみてください。例えば、風船を膨らませたり、紙風船を息だけで浮かせる遊びなどがおすすめです。くれぐれも事故のないように、しっかりと目を離さないように気をつけて取り組んでくださいね。
【コミュニケーション力を強化する】まねっこ遊びやクイズをする
3歳はママやパパはもちろん、テレビで見た大人のマネをしたがる時期です。そこでそれを利用し、まねっこ遊びをやるのもおすすめの方法です。「パパのマネしてみて」「(テレビで見た人の)マネをして見せて」とお願いするなど、遊びを交え、言葉を使うきっかけを作ってあげましょう。
また動物・車・お花などが載った図鑑・絵本・カードなどを使って、「これはなんでしょう」とクイズゲームを出してみるのも語彙力を伸ばすのにおすすめです。こうしたクイズゲームを日常生活の中でも活用できると、モノと言葉の意味が繋がるようになり、さらにいろんな言葉を覚えることができるようになっていきます。
言葉の発達を促す際の注意点
これまでにお話しした言葉の発達を促す方法を、より効果的に行うためのポイントを3つにまとめました。
子どもが安心できる話し方をする
なるべく子どもにとって心地よく、安心できる話し方ができれば、より耳から入ってくる言葉に集中することができ、言葉の理解が進みます。そうした話し方の一つが、マザリーズやペアレンティーズと呼ばれる話し方です。
専門的な訓練が必要なものではなくやや高めのトーンで、ゆっくり、抑揚をつけて話すだけですが、それだけでも幼児は安心してママやパパの話を聞くようになります。
赤ちゃんの頃から、マザリーズやペアレンティーズで話しかけられ続けた子どもが、1歳半になったときに、そうでない子の約2倍の言葉を話したという研究結果も報告されています。
言い間違いを指摘しない
子どもの言葉の発達を促すには、話したい、話すことって楽しい、と思ってもらうことが最も重要です。そのため言い間違いを無理に正そうとすることは、言葉を育てていく上では逆効果になってしまいます。例えば、言葉を覚えたての子どもは「とうもろこし」を「とうもころし」、「がんばれ」を「ばんがれ」と言うなど、間違って言葉を使ってしまう時が少なくありません。
間違えたまま覚えてしまっては良くないと、間違いを指摘したくなってしまいますが、そこは無理に直そうとしてストレスを与える方が良くないと考えるようにしましょう。
大抵の場合は、成長とともに自然と直っていきますので安心してください。あまり気にしすぎず、おおらかに受け止めましょう。
先回りして話さず、最後まで子どもの話を聞く
いつも一緒にいるママ・パパであれば、子どもが何をして欲しいのか、言葉を聞かずともわかってしまいます。冷蔵庫を指さしたり、おもちゃの箱を取ろうとしたりするなどしていたら、つい先回りしてジュースを取ってあげたり、お気に入りのおもちゃを取ってあげたりしてしまうものです。
ですが、そこをグッと堪えて、「何かほしいの?」「どうしたの?」といった質問を子どもに投げかけることで、言葉を使う機会を作ってあげましょう。
もし、まだ質問にうまく答えられない段階であれば、例えば子どもがジュースを飲みたそうにしていたら、「ジュースほしいって言ってごらん」などと教えるといいでしょう。そうしたことを繰り返していくことで、どういった時に、どんな言葉を使えばいいかを理解してくれるようになっていきます。
言葉の発達には個人差がある
これまでお話ししてきたとおり、言葉の発達のスピードは、子ども一人ひとりによって大きく異なります。ですから、もし周りの子と比べて言葉が遅いと感じても、焦ってはいけません。
人と比べず、我が子の特性と思って気長に取り組んでいきましょう。
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。発達には個人差があることを理解していただけたでしょうか。もちろん心配なことがある場合はかかりつけ医や保健所などを積極的に頼ってください。専門家の意見を聞くことで安心できると思いますし、一人で抱え込むことだけは避けてくださいね。
株式会社ダンデライオンでは、子どもたちの可能性を広げる架け橋となることを目指した療育施設「BRIDGE(ブリッジ)」を千葉県内で9施設展開しています。
「子どもたちへの可能性を導く架け橋となる」を理念に掲げ、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出すために、家族や社会とのつながりを大切にしています。
言語聴覚士、臨床心理士、公認心理師、作業療法士、理学療法士、保育士など多様な資格を持つ指導員が全国の特別支援学校や療育施設で実践されている療育技法「太田ステージ」に基づいた指導を行っています。
教室までお越し頂ければ、子どもたち一人ひとりに合わせたプログラムや療育の様子をご覧いただけます。BRIDGEへ、ぜひ1度ご見学にいらしてください!