実は発達障害のあるなしに関係なく、8割の子どもが視覚的なトレーニングや治療が必要だそうです。
今回、BRIDGEの顧問でありビジョントレーニングに関する本も出版されている、ビジョンアセスメント株式会社代表の小松 佳弘先生に取材させていただきました。
目の発達が遅れると、勉強や運動にも影響が出る可能性もあるなど、保護者の皆さまにも参考になるお話がたくさん聞けましたので、ぜひ最後までお読みください!
●「ビジョントレーニング」のことを教えてください
ビジョントレーニングとはアメリカでスタートした「目のトレーニング」です。 スポーツの世界ではパフォーマンスを上げるために使われており、療育の現場ではビジョンセラピーという名前で活用され始めています。
はじめに、ビジョンアセスメント(評価検査)を行い、一人ひとりの課題に合わせたビジョントレーニングのプログラムを決めていきます。
目をよくするには、目のトレーニングをするだけではいけません。
目の動きには前頭葉が密接に関わっているため、前頭葉が発達していない中で目を動かすトレーニングをしても逆効果になることもあります。
他にも、足指の発達が遅れていると、その上にある上半身や頭の位置のバランスが悪くなるため、効果的に目の力を使うことができません。目の成長には、脳やカラダの発達が必要不可欠なのです。
●なぜビジョントレーニングが必要なのですか?
現代は目の発達を妨げるものが多くなっています。
テレビゲームの普及によって子どもたちが外で遊ぶことは少なくなりました。また道路はキレイに整備され、バリアフリーで段差がない場所も多くなりましたよね。そのため昔なら自然に遊びの中で培われていた様々な力が、獲得しづらくなっているんです。
特定のカラダの機能を使うきっかけがなくなると、脳への刺激がなくなり、目の成長も遅れていってしまいます。
そのため、ビジョントレーニングで、目の力を培っていく必要があるのです。
目の力が培われていないと、思うようにカラダを動かせず、運動が嫌いになってしまうお子さんもいます。
また、日常の意外な部分にも支障が出てきてしまう可能性があります。
~日常での支障~
・迷子になりやすい
・転びやすくなる
・人とぶつかりやすい
・作業が全体的に遅い
・片づけられない
・読み書きが苦手・できない
●ビジョントレーニングの効果を教えてください
先ほどお話しした様々な弊害が改善するのはもちろん、脳や運動機能の発達が期待できるため、以下のような効果があらわれます。
・認知機能の向上
文章問題が解けるようになったり、漢字が書けるようになったりします。
・運動機能、ストレス耐性の向上
運動を絡めたトレーニングも行うため、運動機能が向上し、複数のタスクに対しての適応力が高くなります。またビジョントレーニングの中で、環境の変化や新しい人とのコミュニケーションも発生するため、ストレス耐性が強くなります。さらに新しいことにも根気強く取り組めるようになります。
・集団生活が過ごしやすくなる。
今やるべきこととやってはいけないことを区別する力も身に着けられるため、集団生活が過ごしやすくなります。
●ビジョントレーニングの活用において注意点などはありますか?
先ほどもお話ししましたが、発達段階をしっかりと見極めることです。例えば、姿勢の保持・体性感覚を養うべき段階のお子さんに、無理に目を動かすトレーニングをすると、カラダが緊張し強張ってしまいます。カラダの別の部分に悪影響が出てきてしまうのです。今、何をすべきかをしっかり専門家に相談し、自宅でできることなども聞きながら進めていくことが大切だと思いますね。
小松先生、ビジョントレーニングについて分かりやすく教えていただき、ありがとうございました!
ビジョントレーニングについて良さが伝わっていると嬉しいです。
「おしえて!BRIDGE」ブログでは、療育における様々な分野のお話をドンドン発信していきます!ぜひ今後もおたのしみください。