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知的障害と精神障害の違いは?それぞれの定義、特徴、原因を解説

障害には「知的障害」「身体障害」「精神障害」の3つの種類があります。この記事では、知的障害と精神障害の違いをふまえて、それぞれの種類や特徴、原因について詳しく解説します。両者の関係性と、支援方法についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

知的障害と精神障害の違い

知的障害と精神障害は、障害によって日常生活に支障が出るという点では共通していますが、原因や対象年齢が異なります。

 

知的障害について、厚生労働省では以下のように定義されています。

「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」

 

一方、精神障害とは、脳に何らかの器質的変化や機能障害が起こることにより、日常生活や社会参加が困難な状態のことを指します。

発症年齢で考えてみると、知的障害が発達期にあらわれるのに対して、精神障害の多くは思春期以降か、さらに年齢を重ねてから発症する点で違いがあります。

 

なお、精神障害には発達障害も含まれますが、この記事では発達障害以外で子どもによく見られるものについて取り上げます。

発達障害については以下の記事をご覧ください。

「知的障害と発達障害の違いは?それぞれの定義・特徴・原因を解説

知的障害とは

ではまず、知的障害について詳しく見ていきましょう。

知的障害の程度と特徴

知的障害には、軽度・中等度・重度・最重度の4つの程度があります。これらは、知的能力と生活能力のレベルの組み合わせによって分けられます。

軽度

軽度の知的障害は、遊びが生活の中心である幼児期にはほとんどわかりません。小学校入学後に授業についていけないことが多くなり、障害に気づくパターンが多いでしょう。基本的な身辺自立は身に付くことが多く、できることもたくさんありますが、複雑な指示などの理解は難しいのが特徴です。

中等度

知的障害の程度が中等度の場合、幼児期の早い段階から言葉の遅れが見られることがほとんどです。適切な支援や訓練により、学業では小学校2年生程度まで到達できることもあります。個人に合った環境があれば、就労もできるようになります。

重度

幼児期は会話は難しいことがほとんどです。学童期には会話や食事、排泄などの基本的な生活習慣を身につけることができるでしょう。身支度や入浴など、生活上の活動で支援が必要となることも多いです。

最重度

最重度の知的障害の場合、運動面、言語面での発達に著しい遅れが見られます。会話によるコミュニケーションは難しいですが、非言語的な手段を使って意思疎通を図ることができるでしょう。日常の多くの場面で支援を必要とし、重い身体障害やてんかん発作を伴うこともあるのが特徴です。

知的障害の原因

ここでは、知的障害の原因として考えられる、2つの要因について解説します。

先天的要因

知的障害の約8割は、子どもの生まれてくる前に起こるともいわれてます。具体的には、妊娠中の母体の低栄養、出産前後の感染症や中毒、染色体異常、先天的な代謝異常などが挙げられます。

 

遺伝的要因もありますが、親の持つ障害が必ず遺伝するわけではありません。正常な遺伝子が突然変異を起こすことも多いのです。また、遺伝しても必ずしも発症するとは限りません。

後天的要因

後天的要因が知的障害の原因になることもあります。出生後に起こったことが原因で知的障害になる場合です。

 

例えば、感染症対策がまだ十分でなかった時代には、感染症が重篤化したことによる脳炎が原因で知的障害になることがありました。また、脳機能に影響を与えるほどの強い外傷も、知的障害の原因になりえます。さらに、乳幼児期の栄養失調や、不適切な養育環境が原因となる場合もあるでしょう。

知的障害を持つ子どもへの支援

知的障害の子どもは、程度に応じた特別支援教育を受けることができます。特別支援学校に通うか、通常の学校の特別支援級に進学するか、障害の程度やその子のタイプに合わせて選びましょう。

 

また、児童発達支援施設や放課後等デイサービスなどの療育施設を利用することもできます。療育施設では必要な支援を受けられるだけでなく、育児の相談にのってもらえたり、関わり方のアドバイスをもらえたりします。積極的に活用していきましょう。

精神障害とは

では次に、子どもに見られる精神障害について解説します。

精神障害の種類と特徴

ここでは、日本学校保健会の公式サイトで紹介されている、子どもによく見られる精神障害を4つご紹介します。

小児心身症

心身症とは、精神状態が身体症状にあらわれている状態のことです。例えば、ストレスが原因で頭痛や発熱、胃腸の不調があらわれることがあります。

不安障害

不安障害とは、不安や心配が強くなり、日常生活に支障をきたしている状態です。不安障害には、強迫障害や恐怖症が含まれます。原因の多くはストレスで、イライラ、筋肉の緊張、集中力の低下などの症状が見られます。

気分障害

気分障害とは、気分の上がり下がりにより生活が困難になる障害です。気分障害の代表であるうつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下が見られます。気分障害には精神症状だけでなく、頭痛や吐き気、めまいなどの身体症状が伴うことも特徴的です。

小児統合失調症

統合失調症は、妄想や幻覚などの症状が見られる疾患です。ほとんどが思春期以降に発症しますが、まれに幼児期に発症することもあります。小児統合失調症の特徴として、感情的な反応の欠如も挙げられます。

精神障害の原因

ここでは、精神障害の原因となる3つの要因について解説します。

心因性

心因性の原因には、ストレスによって生じた不安や葛藤が含まれます。子どもの場合、友人関係や成績、親からのプレッシャーなどが該当するでしょう。

 

同じ状況に置かれても、それをストレスと感じる子どももいれば、感じない子どももいます。また、ストレスを受けても精神障害を発症するかしないかは、その子の気質や性格が大きく関係してくるのです。

内因性

内因性の原因とは、その子がもともと持っている遺伝的な要素や体質のことです。先ほど紹介した小児統合失調症や発達障害は、内因性によるものだと言えるでしょう。ただし、内因性の原因は目に見えないため、はっきりと証明されているわけではありません。

外因性

外因性の原因には、交通事故や病気など、脳機能に影響を与えるものが含まれます。受けたダメージにより、幻覚や記憶障害が起こることもあるでしょう。

精神障害を持つ子どもへの支援

精神障害を持つ子どもへの支援で大切なのは、子どもの様子をよく観察して、彼らの変化に気づくことです。子どもはストレスを言葉で伝えることが困難なため、行動であらわしたり、身体症状として出てきたりすることが多いからです。また、本人が症状を自覚していなかったり、原因がわからなかったりする場合もあるでしょう。

 

以下のような変化があったら、ストレスが精神障害に繋がるサインかもしれません。

・友達と遊んでいたのに一人で遊ぶようになった

・食事の量が減った

・乱暴になった

・会話が減った

 

子どもの気になる様子や症状の原因がどんな種類の精神障害なのかは、専門家でないと判断できません。気になる場合は、かかりつけの小児科や地域の保健センターに相談してみましょう。担任の先生や、スクールカウンセラーの先生も力になってくれるはずです。

 

そして、子どもが精神障害だということがわかったら早めに専門機関を受診し、適切な治療を受けましょう。カウンセリングや、脳の神経伝達物質に作用する薬での治療が一般的です。

知的障害と精神障害の関係性

知的障害と精神障害は定義も種類もまったく違う障害ですが、両者が繋がることもあります。知的障害の二次障害として、精神障害を発症することも考えられるのです。

 

特に軽度の知的障害の場合、支援を受ければ学習にもある程度ついていけますし、身の回りのことでできることもたくさんあります。そのため、周りからは障害に気づかれにくく、困難さを理解してもらえないこともあるのです。

 

「怠けている」「特別扱いされてずるい」など、心無い言葉や態度を取られることもあるでしょう。それがストレスとなり、不安障害や気分障害などの精神障害を発症することもあるのです。そうならないためには、本人への支援だけでなく、周囲への理解を得ることも重要になってきます。

まとめ

この記事では、知的障害と精神障害の違いについて解説いたしました。両者は全く違う障害のため、それぞれの特徴や必要な支援についてよく理解することが大切です。

 

重要なのは、診断名にこだわることではなく、目のまえにいる子どもをよく見ることです。子どもに関わる人たちがうまく連携して、子どもをサポートし、自立へと導いていきましょう。障害を持っている子どもが、ありのままの自分に自信を持って、生き生きと生活できたら素敵ですね。

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