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〜わかりやすくカンタンな「療育」の話〜

発達障害のある子どもの性教育について

性教育の重要性はわかっていても、いつから始めたらいいのか、どんなことを教えたらいいのかわからない。そんな悩みを持っている方も少なくないと思います。

 

今回は、発達障害のある子どもへの性教育に関してお悩みを抱える保護者さまに向けて、基礎となる知識をご紹介します。
大人になったら自然と性の知識が身に付いて、やっていいことと悪いことの判断がつくようになるという考え方ではなく、保護者さまがしっかりと責任を持って取り組むことが大切です。

 

難しいテーマではありますが、ぜひ最後までお読みいただき、正しい知識を持って子どもたちと接してください。

 

 

●思春期の発達障害の行動特性とは?

ここではまず発達障害の特性別に、思春期(小学校の高学年から成人まで)にどういった行動を取るようになるのかを見ていきましょう。

 

・自閉スペクトラム症(ASD/自閉症)に見られる行動

これまで育ってきた環境の影響が大きく行動として現れます。例えば、​​男性に苦手意識や恐さを感じて育った男児は、同性の友達とのコミュニケーションが苦手になり、女性のような仕草をする傾向があります。そのため集団生活の中で友達ができにくく、孤立してしまうことも少なくありません。他にも、乱暴な子が多い環境にいると、女児であっても人を叩いたり物を投げたり、乱暴な行動を取るようになることがあります。

 

また異性への関心が強まると、大きな戸惑いを見せるのも特性の一つです。特に母親への依存が強い子どもは、テレビに異性が出てくるだけで過剰に意識し、音を下げたりチャンネルを変えたりします。また街中で同年代の異性とすれ違うだけで不自然に顔を背けたり避けたりすることもあります。こうした特徴は特に男児によく見られます。

 

・注意欠如・多動症(ADHD)に見られる行動

注意欠如・多動症(ADHD)の中でも衝動性の特性がある子どもは、トイレやお風呂に着く前に服を脱ぐ、そして服を着る前に外に出てきてしまう場合があります。早く行動したい、という強い衝動が羞恥心に勝るために起きてしまう行動です。そのため、恥ずかしさについて教えたり、叱ったりしても効果は薄く、衝動をコントロールさせるためのアプローチが必要になります。

 

・学習障害(LD)に見られる行動

学習障害(LD)は、知能の発達に関しては定型発達の子どもたちと変わらないので、特有の問題行動はありません。我が子が理解しやすいような伝え方を考えて、性教育に向き合っていただければと思います。

 

 

●発達障害のある子どもには早い段階での性教育が必要

発達障害の子どもの中には、心や身体の急激な変化に不安を抱き、パニックになったり自傷行動をとったりする子どもも少なくありません。また、発達障害のある子は性犯罪などに巻き込まれやすいというデータもあるので、早い段階での性教育はとても重要です。

 

ここでは、早めの性教育が必要な理由をご説明します。

 

・急な体の変化に戸惑う

身体の変化を受け入れられず、性を否認する行動を取る子もいます。​​男児では、声が変わることに強い拒絶反応を示し、首を絞める・喉を叩くなどの自傷行動をすることがあります。女児では、身体が丸みを帯びてきたことに対し、過度なダイエットをする場合があります。これらは変化を拒絶して、身体をこれまでと同じように保とうとするための行動です。

 

こうした行動を取らせないためにも、思春期に入る前から、成長するにつれて身体にどういった変化が起こるのかを具体的に説明しておきましょう。誰にでも起こる当たり前のことであるとしっかり心構えができるように、時間をかけて理解してもらうことが大切です。

 

・羞恥心を理解することが困難

先ほども注意欠如・多動症(ADHD)の子どもたちの特徴としてお話をしましたが、発達障害のある子どもたちは羞恥心をなかなか理解することができません。人との距離感や人の感情を理解するのも難しく、好意を持っている人に急に抱きついたり身体を触ってしまったりすることもあります。

 

また注意欠如・多動症(ADHD)だけでなく、自閉スペクトラム障害(ASD)の特徴がある子どもも、人の立場になって考える他者視点を持つことが困難なため、羞恥心の理解が難しい場合があります。

 

こうした理由から、思春期に入る前から、成長するにつれて身体にどういった変化が起こるのかを具体的に説明しておくことが重要です。誰にでも起こる当たり前のことであるとしっかり心構えができるように、時間をかけて理解を促しましょう。

 



●発達障害の子どもへの性教育はいつ始める?

次に、性教育を始める時期についてお話ししていきます。
以下のいくつかのタイミングでスタートしてみることをおすすめします。

 

・幼稚園・保育園の頃から徐々に始める

早すぎない?と思われる方も多いと思います。ですが、先ほどもお話した通り、ゆっくり時間をかけて理解を促した方が、実際に思春期になって身体の変化が起きた時のショックを少なくできます。また思春期になると保護者と性の話をすることを嫌がるようになりますし、反抗期を迎え、なかなか思うようにコミュニケーションが取れなくなることも考えられます。そのため、早い時期からスタートすることが大切です。

 

まずは 少しずつ身体の機能や役割のことを教えながら、触らせたり見せたりしてはいけない身体の部位であるプライベートゾーンの話などをしていきましょう。

 

・子どもが性に興味を持ち始めたとき

子どもが性に興味を持ち始めたのが分かったら、性教育を始めるタイミングです。世の中には間違った性の知識も多く存在しているので、子どもに正しい知識を教えていくことが大切です。

 

・性に関係する発言をし始めたとき

「赤ちゃんはどうやってできるの?」「セックスって何?」など、子どもから答えづらいことを急に言われて、戸惑ってしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。ですが、そういった性に関する発言をするようになった時こそ、性教育を始めるタイミングでもあります。

 

 

●発達障害の子どもに性について教える4つのコツ

性について教える上で一番大切なのは、普段から子どもたちが安心して何でも話せるように信頼関係を築くことです。一方的に大人の価値観で、叱ったり、問いただしたり、決めつけたりしてしまうと「この人には話したくない」と思われてしまいます。

しっかりと話を聞き、安心感を持ってもらえるようなコミュニケーションを心がけてください。そうした関係性を築いた上で、性教育を行う4つのコツをお教えします。

以下を意識しながら子どもたちと向き合ってみてください。

1.やってはいけないことはしっかりと伝える

小学校低学年までの子どもは「ちんちん!」と叫んだり、性器を出してみたり、ふざけてスカートをめくったりすることがあります。子どものやることだからと放置せず、やってはいけないことであると、理由を添えて伝えるようにしてください。

 

例えば、「お風呂やトイレだったらパンツを脱いでもいいけど、それ以外の場所ではおちんちんは出してはいけないよ」と具体的に場面・場所までイメージできるように伝えることがポイントです。「恥ずかしいから、とにかくダメ」というような感情論で話すのではなく、判断基準まで明確にして教えるようにしてください。

 

2.子どもが理解できる言葉を使う

日頃からコミュニケーションをとって、どういった言葉を使い、どんな言い方をしたら、子どもに理解してもらえるかを知っておくことが大切です。また、子どもたちの自己肯定感が下がっていってしまうため、からかったり、誰かと比較をしたりして注意をするのはNGです。

 

「小さい頃は許されたのに、なんで今はダメと言われるのだろう…」と思う子もいるので、子どもの理解度や特性を踏まえた上で伝え方を工夫してみてください。

 

そして、なるべく具体的に話をするようにしましょう。

 

例えば、性被害に遭わないようにするためにすべきためすべきなのが、どんな状況が危険であるかを場所や場面までイメージできるようにして教えることです。もし危険な状況に遭遇してしまった場合には、大声を出す、やめてと言う、助けを求める、逃げるといった選択肢があることを伝えておき、どういった場面でどの選択肢を取るべきかまで話しておきましょう。

 

また最近では、インターネット上のトラブルも増加しています。SNSを利用する上での危険性を伝え、ルールを決めておくといいでしょう。写真や個人情報の取り扱い方や知らない人からの誘いに乗らないようになど、一つひとつ具体的に確認していってください。

 

3.教える側が性教育に苦手意識を持たない

子どもたちから性的な質問をされた時に、嘘をついたり、はぐらかしたくなったりする気持ちはわかります。ですが、質問されたことに対しては恥ずかしがらず、しっかりと答えるようにしてください。保護者の気まずそうな様子を見て「性=悪いこと」という認識を持つことにも繋がってしまうからです。あまりにその意識が根付いてしまうと、正しい知識を吸収する妨げにもなりますので注意が必要です。

 

4.同性の保護者から伝える

性教育はできるだけ同性の保護者が担当することをお勧めします。具体的に話ができ、的確なアドバイスができることはもちろんですが、子どもたちが大人になった時に異性にも性的な話を普通にしてしまうようになり、トラブルになる場合もあるからです。

 

それが難しい場合には、私たちのような「障害児通所支援サービス(児童発達支援、放課後等デイサービス)」に相談してみてください。ほとんどの事業者は男性・女性両方のスタッフが在籍しており、発達障害の子どもたちに向けて性教育も行っています。

 

●まとめ

今回は発達障害のある子どもの性教育についてご紹介しました。

 

まだまだ日本の学校教育は、性教育が十分であるとは言えません。さらに発達障害の子どもには、特徴に合わせたフォローやコミュニケーションが必要ですので、よりご家庭での教育が重要になってきます。

 

まずはしっかりと保護者さまが、性教育に前向きに取り組む気持ちを持ってください。ご説明したように、性教育が不十分だと、子どもは身体や心の変化に大きな不安を感じることになり、最悪の場合は性犯罪に巻き込まれるなど、重大な問題に発展することも考えられます。大切な子どもたちを守るためにも、早いうちから適切な性教育を行っていきましょう。

 

私たち、株式会社ダンデライオンは千葉市で児童発達支援・保育所等訪問支援・放課後等デイサービス「BRIDGE」を運営しています。

療育に関する様々な情報発信はもちろん、療育のご利⽤を検討されている保護者様からのご相談や施設のご見学も随時受け付けております。

スタッフの採用も随時実施しておりますので、ご興味のある方はぜひHPもあわせてご覧ください。

 

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