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子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の特徴とは?行動特性や接し方について解説

●自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の一種

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 (ASD)は先天的な発達障害の1つです。これまで、自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群など様々な名称で呼ばれていましたが、現在はまとめて自閉スペクトラム症または自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:ASD)と表現されるようになりました。

 

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもには、対人関係が苦手、特定のことに強いこだわりがあるといった特徴があり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。近年、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は約100人に1人いると報告されており、男性に多く女性の約4倍とも言われています。

 

 

●子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の4つの特徴

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)には、大きく分けて4つの特徴があります。

・コミュニケーションに障害がある

人への関心が弱く、コミュニケーションに困難が生じます。また相手の表情から気持ちを汲み取るなど曖昧なことを理解するのが苦手なため、空気が読めないと思われてしまうこともあります。

 

特徴的な行動:

・あやても目が合わず、反応がほとんどない

・「バイバイ」と手を振る時、手のひらを自分の方に向ける

・人見知りをしない

・セリフを棒読みするような話し方をする

・大人びた言葉遣いをする

・表情などから相手の気持ちをくみ取れない

・双方向のコミュニケーションがうまく取れない(受け身過ぎる、一方的過ぎるなど)

 

・社会性に障害がある

上記でお話ししたコミュニケーションの障害にも関わりますが、人と上手く関係性を築いていけないのも、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴の一つです。状況や人に合わせて柔軟な対応を取ることが苦手で、事実や理屈をもとに行動するため、相手を不愉快にさせてしまったり、誤解を生んでしまったりします。

 

特徴的な行動:

・空気を読めず、周囲の人の反感を買うことがある

・友人と親密な関係を築けない

・普通に話しているつもりなのに、相手を不愉快にさせることがある

etc

 

・行動や興味を持つものに偏りがある

興味関心への極端な偏りがあり、特定の物事への強いこだわりや執着があるのも自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴です。

 

特徴的な行動:

・同じ行動を延々と繰り返す

(手足をばたつかせ続ける、おもちゃの車のタイヤを回し続けるetc)

・物事の順番や配置などに強いこだわりがあり、いつも同じでないと気が済まない

・電車、昆虫、地図など、特定の分野に強い興味を持つが、その範囲が極端に狭い

・興味のないことに取り組めない

・勝負事で一番になれないとパニックを起こす

・ゲームやアニメなどに没頭する

etc

 

・感覚に異常がある

全ての自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもに当てはまるわけではありませんが、感覚過敏・感覚鈍麻という症状を持った子もいます。感覚過敏とは、通常よりも強く五感への刺激を感じ取ってしまうことです。逆に感覚鈍麻とは、五感に受ける刺激への反応が弱いことを言います。例えば、ちょっとした物音に過敏に反応する(感覚過敏)、寒い日に薄着をしても気にならない(感覚鈍麻)といったことが、感覚の偏りによって起こります。感覚が過敏なことで、パニックやかんしゃくを引き起こすこともあります。

 

 

●自閉スペクトラム症(ASD)の年齢別子どもの行動特性

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴的な行動について年齢別に解説いたします。もちろん成長速度や行動特性には個人差がありますので、一つの参考としてご覧ください。

 

・生後~1歳の行動特性

・抱っこを嫌がる

・寝つきが悪い/すぐ目を覚ます

・ミルクを飲まない/偏食

・あまり泣かない

・あやしても反応がほとんどない

etc

 

・2歳~3歳の行動特性

・触られることを嫌がる

・発語や言葉が遅い

・名前を呼んでも反応しない

・視線が合わない

・ひとり遊びが好き

etc

 

・小学校入学前の行動特性

・何かをするときの手順やモノの配置などにこだわる

・集団行動が苦手

・友達とうまく遊べない

・同じ遊びを繰り返す

・ごっこ遊びが苦手

etc

 

・中学~高校生の行動特性

・人との違いを気にして自己肯定感が低い

・友だち付き合いがうまくいかない

・勉強に遅れが生じる

・マナーを守れない

・TPOに合わせた行動が取れない

 

人前で着替えてしまう、話してはいけない場面で大声を出してしまうなど、場面に合わせた行動が取れないことがあります。また、こだわりが強いあまり、小さい頃のお気に入りの服を着たり、真冬でも半袖を着たりしてしまうこともあります。

 

 

●自閉スペクトラム症(ASD)が発生する原因

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の原因はまだ詳しくはわかっていませんが、生まれつき脳の機能に不具合があるために起こると言われています。そのため、しつけや育て方とは無関係です。

 

 

●自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は、アメリカ精神医学会が発行している「DMS-5」(「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版)をもとに診断されます。 

 

「DMS-5」には、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)について、以下のような診断基準が記載されています。

・自閉スペクトラム症の行動特性が、学校やご家庭など複数の状況で出ている

・自閉スペクトラム症の行動特性によって、日常生活に大きな影響が出ている

・自閉スペクトラム症の行動特性が、6ヶ月以上継続している

 

 

●自閉スペクトラム症(ASD)の診断方法

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断では「問診」「行動観察」「心理・知能検査」が行われます。場合によっては生理学的な検査も行われ、それらの結果をもとに医学的な基準を満たしているかどうかで最終的な診断がなされます。

 

・問診

医師から家庭や幼稚園・保育園・学校などでの様子をヒアリングされます。生まれてから今までのことを聞かれるので、母子手帳や幼稚園・保育園・学校の連絡帳、通知表、日記など普段の様子を思い出せるものを持参することをお勧めします。

 

・行動観察

子どもの遊んでいる様子を医師が観察し、自閉スペクトラム症(ASD)の特徴が見られるかを判断します。

 

・心理・知能検査

子どもの発達水準や知能水準などを評価する検査を行っていきます。検査には「WISC-Ⅳ 知能検査」や「田中ビネー知能検査V」といった複数の種類があり、年齢などによって使い分けます。

これらの方法を経て、自閉スペクトラム症(ASD)の診断がなされます。日によって特徴の出方が異なったりもするので、一度の受診で診断が下ることはありません。数日に分けて検査を行い、総合的に判断していきます。

 

 

●自閉スペクトラム症(ASD)を持つ子どもとの接し方

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴があることによって、大きなストレスを感じている子どもたちも少なくありません。以下のような工夫をしながら子どもたちと接することで、ストレスや生きづらさの軽減に繋がることが期待できますので、ぜひ試してみてください。

 

・子どもの行動を理解する

我が子にどういった特徴があるのか、どういった環境でその特徴が出やすいのかなどを、まずはよく観察してください。そして、そうした行動は子どもの努力不足などではなく、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴によるものであると理解をすることが大切です。

 

・子どもが理解できる言葉で話す

できるだけカンタンな言葉で、ゆっくりと話すことを心がけてください。また「ちゃんとして」「そこにいて」といった曖昧な表現は混乱させてしまうので、具体的かつ短い言葉で伝えるようにしてください。繰り返し同じことを言う場合は、伝え方を統一することも効果的です。

・子どもが落ち着ける環境作りをする

モノがたくさん置いてあって雑然としていたり、様々な音が聞こえたりするなど、絶えず多くの刺激が入ってくる環境では子どもたちは落ち着くことができません。なるべく整理されスッキリとした静かな部屋を用意するといいでしょう。またモノが見えないように布などで隠すといった工夫も効果的です。

 



●自閉スペクトラム症(ASD)の治療方法はある?

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は、生まれつきの脳機能の障害ですので、完全に治るということはありません。そのため、子どもの特性に合わせた「環境調整」や「療育」といった方法により、困り事を軽減していくことを目指します。支援をしてくれる公的な窓口や支援機関もあるので、積極的に利用するようにしてください。

 

・特定相談支援事業者に相談する

特定相談支援事業者とは、自治体が行っている相談支援事業所のことです。障害福祉サービスを利用するためのサービス等利用計画を作成してくれます。また、作成したサービス等利用計画が最適かどうかをモニタリングしながら、必要であれば見直しや修正を行い、より良い生活を送れるように提案をしてくれます。

 

障害福祉サービスにはたくさんの種類がありますので、どのようなサービスを受けたら良いのかわからない場合もあると思います。不安や悩みがあれば、ぜひ相談してみてください。

 

 療育施設に相談する

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療の基本は「療育」(治療教育)です。一人ひとりの子どもの特徴や発達段階に合わせた療育のプログラムは、子どもたちのできることを増やし、生きづらさや生活していく上での困難を減らす助けになります。児童福祉法に基づく「児童発達支援センター」、「児童発達支援事業所」、「放課後等デイサービス事業所」を利用するには「通所受給者証(受給者証)」が必要です。まずは、施設を見学して雰囲気や療育方針を確認し、子どもの特性や保護者さま自身が求めるものと照らし合わせてみてください。見学の際には、受給者証が必要かも確認しておくと良いでしょう。

 

 

●まとめ

今回は、子どもの自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)についてお話してきました。ここまでご説明してきた通り、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は、親のしつけや生活環境によるものではありません。「自分が悪いのでは」と抱え込まず、周囲のサポートを受けながら、子どもの特性をポジティブに捉えて、長所を伸ばしていくことを心がけてください。

 

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴は例えば「こだわりが強い→人の意見に流されず物事に取り組める」といったようにポジティブに捉えることもできます。実際、特徴を強みとして社会で活躍していたり、充実した生活を送っていたりする人もたくさんいます。

このように、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)は必ずしもそれ自体がマイナスになるわけではありません。一人ひとりの個性や特性として捉え、生きづらさを軽減しながら、強みや得意を活かせるように支援をすることが大切です。

 

私たち、株式会社ダンデライオンは千葉市で児童発達支援・保育所等訪問支援・放課後等デイサービス「BRIDGE」を運営しています。

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