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〜わかりやすくカンタンな「療育」の話〜

太田ステージとは?太田ステージによる自閉症スペクトラム障害の評価・支援方法

 

●太田ステージの概要

太田ステージとは、主に自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)のある子どもの療育に使われる評価・支援方法の一つです。子どもの発達段階を評価し6つのステージに分け、それぞれのステージに合わせた療育を行っていきます。

対象年齢は0歳〜7、8歳程度ですが、発達の状況によってはそれ以降の年齢の子どもにも適用できます。ステージごとに豊富な支援方法の例が挙げられているのが特徴で、様々な教具を使うことで子どもが意欲的に取り組めるような工夫がされています。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは、記憶力などの能力は高いものの、シンボル機能に困難があったり、比較(モノの大小など)や空間(モノの位置の上下など)の概念が理解できなったりします。シンボル機能というのは、目の前にないモノを、シンボル(言葉、記号など)を使って表現する能力のことです。こうした障害があることで、人とのコミュニケーションが円滑にいかない、周りの人が当たり前にできることが苦手、といった問題が起きてきます。

 

 

●太田ステージ評価とは

発達には、つまずきやすい節目があり(例えば、モノに名前があることが理解できるかどうかなど)、その節目に合わせた評価・支援のステージを設定したものが太田ステージ評価です。太田ステージの評価方法はLDT-R(言語解読能力テスト改訂版)といい、5〜10分ほどで終わります。

 

・太田ステージ評価の6段階

太田ステージ評価は子どもの発達の段階によって、ステージ-1、-2、以上の6段階に分けられます。

 

Stage I

モノに名前があることを理解できていない段階(健常児では1歳半くらいまでの段階)

質問されたことに対して、指さしで答えることができない場合はStage Iに該当します。

Stage II

モノに名前があることが分かりかけている段階(健常児では2歳くらいまでの段階)

質問に対して指さしで答えることができます。またイヌやリンゴなど身の回りにあるモノの名詞を理解できるようになってきているものの、ペンは書くモノ、自動車は乗るモノなど、用途による理解が困難な場合はStage IIに該当します。

 

 Stage Ⅲ-1

大きい・小さいなどのカンタンな比較ができるかどうかで、ステージStage Ⅲの中でも2つの段階に分かれます。

 

Stage Ⅲ-1

モノに名前があることがハッキリと理解でき、さらにモノの用途による理解もできている段階健常児では2歳半くらいまでの段階)

 

Stage Ⅲ-2

比較(大小・長短など)ができる段階健常児では3~4、5歳くらいまでの段階)

 

 Stage Ⅳ

上下・左右など空間関係が理解できる段階(健常児では7、8歳くらいまでの段階)

空間関係が理解できることによって、思考の柔軟性が増してくるのがStage Ⅳの特徴です。

 

StageⅤ以上

それ以上の発達の段階にあるため、太田ステージではなく、別のアプローチが必要になります。

 

・段階別の認知発達治療

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもたちの認知・情緒の発達を促し、自分で行動のコントロールができるようにしていくための取り組みを、認知発達学習と呼びます。

認知発達学習は、太田ステージ評価によって設定された自分の発達段階にあった課題を通じて行われます。太田ステージの課題は様々で、オーソドックスな机で行うものから遊びを通したものまで多種多様です。

 

 

●太田ステージ評価によるメリット

太田ステージ評価によるメリットは主に5つあります。

  子どもの発達段階のステージがわかる(主にシンボル機能に関して)。

  子どもの行動の意味がわかるようになる。

  何をしたらいいか(治療教育)の方向性が見える。

  治療教育の適切性を検討できるようになる(効果のあるなしなど)

  検査がカンタン・短時間で行える。

太田ステージを使うことによって、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)であると診断された子どもに対する理解を深めることができます。さらに具体的に何に取り組んだいったら良いのかを、短い時間で明確にできることも大きなメリットです。

 

 

●太田ステージによる認知発達治療の3次元の目標

太田ステージの課題によって、子どもたちの認知・情緒の発達を促していくことで、主に3つの目標を目指していきます。

 

・第1次元

子どもの認知・情緒の発達を促し、自分で行動のコントロールができるようになることを目指します。

課題に関しては「楽しいからもっとやりたい」という意欲を持ってもらえるように、子ども一人ひとりにあったものを選び、さらに肯定的な言葉をかけることを大切に療育を行なっていきます。

 

・第2次元

生活技能(自立して生活していくためのスキル)の獲得を目指していきます。

様々な場面に適応できるスキルを身に付けることで、良好な人間関係も築いていきやすくなります。一方で、こだわりが強い、几帳面など自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)による特徴を強みとして活かしていくことも重要です。

 

・第3次元

問題行動や不適応な行動を取る頻度を減らすことを目指していきます。

問題行動への対処と予防は、第1次元・第2次元の働きかけを実施する上でもとても大切になってきます。自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは環境の変化が苦手ですが、だからといって新しいコミュニティや行事などへの参加を避けてばかりでは、ますます変化に対応できないようになってしまいます。本人や保護者さまと話し合いながら、どの程度の挑戦をさせていくかを慎重に考えていくことが大切です。

 

 

●まとめ

今回は、太田ステージについてお話ししました。子どもの成長に合わせた課題に取り組むことで、認知・情緒の発達を促していくアプローチです。記事を読んで興味を持たれた方は、私たちダンデライオンをはじめ、太田ステージを取り入れている療育施設で、ぜひより詳しいお話を聞いてみてください。

 

私たち、株式会社ダンデライオンは千葉市で児童発達支援・保育所等訪問支援・放課後等デイサービス「BRIDGE」を運営しています。

療育に関する様々な情報発信はもちろん、療育のご利⽤を検討されている保護者様からのご相談や施設のご見学も随時受け付けております。

スタッフの採用も随時実施しておりますので、ご興味のある方はぜひHPもあわせてご覧ください。

 

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