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〜わかりやすくカンタンな「療育」の話〜

感覚統合を促す遊び例17選!必要な支援を楽しく取り入れよう

統合がうまくいかないと、生活していく上でさまざまな困難が生じます。今回は統合とは何か、そして感覚統合を促す方法について詳しくご説明していきます。最後までお読みいただき、感覚統合への理解を深め、子どもが楽しく取り組める遊びをぜひ実際にやってみてください。

 

感覚統合の概要

感覚統合は、さまざまな感覚器官からの情報を脳が正確に整理し、適切に反応する機能を指します。五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)だけでなく、固有受容覚(手足の状態や筋肉の伸び縮み、関節の動きを感じる感覚)や前庭覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)重要な役割を果たしています。

発達障害のある子どもたちの中には、これらの機能に課題を持っている場合があり、特に触覚・固有受容覚・前庭覚に問題が生じることが多いと言われています。

 

感覚統合がうまくいかないことで起こり得るトラブル

まず触覚に問題がある場合からご説明します。触覚には、「身を守る役割」と「物を識別する役割」があります。身を守る役割は、熱いものに触れたときに手を引くなどを指します。物を識別する役割は、バッグの中から目的のものを手で探すといったことをイメージしてください。

こうした役割に問題があると、例えば「身を守る役割」が強調され、歯磨きや髪のカットに嫌悪感を示すことがあります。さらに、通常はハグなどをすると触覚を通じて感情を安定させられるのですが、それを不快と感じてしまい、すぐに怒ったり泣いたり情緒が不安定になることにもつながります。


次に、固有受容覚に課題がある場合、自分の手足の動きなどが理解しにくく、身体の各部の位置や動きをつかむのが難しくなります。その結果、力の調整が難しく、動きが正確でなくなります。そのため、おもちゃなどを荒っぽく扱ったり、友達の髪を引っ張ったりするような問題行動が見受けられる場合があります。さらに、体操が苦手だったり、ボタンを留めることが難しかったり、フォークや箸などの食器を上手に使えなかったりといった困り事も、よく見られます。


最後に、前庭覚に課題がある場合です。姿勢保持、覚醒、眼球運動、自律神経などに影響が及びます。具体的には、椅子にちゃんと座っていられなかったり、ゴロゴロしたりぼんやりすることが多かったり、物や人の動きを追いかけることが難しかったりします。また、頭の位置の変化に敏感に反応する傾向も見られます。

こうした基礎感覚の発達を促すためには、子どもが楽しみながら自発的に参加できるような遊びやサポートがとても重要です。

 

発達障害とも関係がある?

発達障害には、感覚統合が円滑に機能しないことが影響している場合が多く見受けられます。そのため、感覚統合を理解することは、発達障害に対する理解を深めることにもなります。

 

 

感覚統合の発達に欠かせない3つの感覚とは?

これまでお話ししてきたこと以外にも、感覚統合が十分に機能していない場合、さまざまな問題が見られることがあります。

例えば、新しくいく場所が苦手だったり、体の痛みに気づかなかったりすることもあります。また、跳び箱・縄跳び・ボール投げといった運動が苦手な場合もあります。さらに、言葉が出にくい、目が合わせられない、といったコミュニケーションの困難も感覚統合の問題が影響している可能性があります。

さらに、怒りっぽく衝動的な行動を取ったり、気分の切り替えが苦手であることや強いこだわりを持っていたりすることも感覚統合の影響かもしれません。

こうした生活していく上でさまざまな困難を生じさせる感覚統合の問題を改善するべく、発達させていくべき3つの感覚をご紹介していきます。

 

①触覚

触覚は、皮膚を通して得られる感覚であり、冷たさや温かさ、硬さや柔らかさ、痛みや快適さなどがこれに含まれます。これらの感覚情報が、適切に処理されていくことが感覚統合の発達の大きな鍵となります。

 

②固有受容覚

固有受容覚は、筋肉や関節に存在する受容器から発信される感覚です。これにより、自身の身体の位置や動きを的確に把握することが可能となります。

固有受容覚は、特に運動における身体の制御や姿勢の維持において不可欠で、この感覚が正しく機能することで、日常生活におけるさまざまな動作やバランスの維持が可能になります。

 

③前庭覚

前庭器官(内耳に位置)から得られる感覚のことです。自身の身体がどの方向に動いているかを把握したり、重力に対して姿勢を維持したりするのに重要な情報を提供します。バランスを取ったり、空間認識をしたりすることにおいて不可欠な感覚です。

 

 

感覚統合を促す遊びに取り入れたい支援は?

子どもたちの感覚統合を促進するためには、感覚を鍛える遊びが役立ちます。例えば、外での遊びでは砂場やブランコ、すべり台などの遊具を使って、重力や動きに対応する感覚を鍛えることができます。また、室内での遊びでは、粘土やスライムなどの触り心地のあるものや、音楽や絵本などを使って、触覚や聴覚を刺激することができます。

 

ただし、子どもたちはそれぞれ異なる特性を持っているため、感覚統合を発達させる方法も個々に異なります。子どもが抱える課題や困難によってアプローチを変えることが大切です。柔軟なアプローチで、子どもたちが楽しみながら感覚統合を進められるようサポートをしましょう。

 

手や足で直接触れる|基礎感覚を鍛える

基礎感覚を鍛える方法として、感触遊びと素材遊びが効果的です。

感触遊びでは、小麦粉、片栗粉、パン粉、糸こんにゃく、高野豆腐などの食材を使用し、それぞれの感触の違いを楽しみましょう。

素材遊びは、身の回りのさまざまなものに手や足で触れて感覚の違いを楽しむ方法です。屋内での素材遊びには粘土やスライム、ゴム人形、伸び縮みするボールが適しています。一方、屋外では泥んこ遊びや砂場遊び、水遊びがおすすめです。

発達障がいの子どもは、感覚が過敏または鈍いことがあります。感触を楽しみながら遊ぶことで、徐々に適切な感覚統合が進むようになりますが、感覚が過敏で触ることを嫌がる子どもには、ゆっくりと時間をかけ、徐々に慣れさせるよう心がけましょう。

 

大きく身体全体を動かす|筋肉の使い方を意識する

筋肉を意識的に使った遊びでは、固有受容覚を養うことができます。例えば、おしくらまんじゅう、ジャンプ遊び、障害物またぎ・くぐりなどの遊びが挙げられます。おしくらまんじゅうでは、力の加減をコントロールする力を養うことができ、また自分の身体の位置を意識する力を付けられます。

また、ジャンプ遊びや障害物またぎ・くぐりでは、適切な体勢や筋肉の使い方を考え、実践することが必要になってくるので、身体を自分の思った通りに操る力を向上させることができます。

特に発達障害のある子どもたちは、力の加減が難しく、不器用な傾向がありますが、固有受容覚を養うことでその課題に取り組む手助けになります。

 

動きを目で追う|目の使い方を訓練する

目の使い方に関する課題は、ボールを追えない、板書を素早く写せない、文章を読む際に飛ばしてしまうなど、小学校に進学するとますます顕著になります。これが原因となり勉強の遅れや成績不振に繋がります。また、読み書きや推論能力の障害である学習障がい(LD)も、目の使い方の困難が影響している場合があります。

目の能力を向上させることで、視野が広がり、空間認識能力を向上させられるため、勉強や芸術活動、身体を動かす活動などで、子どもたちの弱点を減少させることが期待できます。

 

日常よく行う動作を取り入れる|生きる力を身につける

着替えをする、箸を使うなど、家庭や学校などの実生活では、指先から腕、足を巧みに動かす微細な運動が求められる場面がよくあります。発達障がいのある子どもたちは、細かな運動が苦手である場合が多いため、こうした実際の生活の中で直面する問題を解決できるような支援がとても重要です。

 

集団で遊ぶ|社会性や協調性を養う

仲間たちと一緒に遊びながら、楽しさや喜びを共有し、コミュニケーションに必要なスキルを磨いていくことも重要です。また、遊びの中でのルール遵守や協力の重要性を理解し、社会性を発展させることも期待できます。

 

 

家庭でできる!おすすめの感覚統合遊び例10選

家庭で実践できる遊びをご紹介します。成長に必要な感覚をきたえる遊びです。ここでは感覚統合遊びの例を10個お教えいたします。

 

①積み木

空間認識能力の向上は非常に重要です。周囲の要素を素早く認識し、広い視野を持つことが期待されます。この能力を高めるための遊びとして、例えばブロックや積み木を使用することが挙げられます。教師が模範を示し、子どもたちが同じものを作成することで、空間認識能力が向上します。難易度が高い場合は、単に見本と同じブロック(積み木)を見つけるだけでも良いでしょう。

また、パズルも有効です。初めはピースが少なく、台紙に枠線が描かれている簡単なものから始め、徐々にピースを増やして難易度を上げていきます。これにより、視野が広がり、周囲との距離感を把握できるようになります。

 

②新聞紙ちぎり

新聞紙や包装紙を自由に破ることは、特に聴覚過敏や細かな作業が苦手な子どもたちにとって、とても効果的です。紙を破ることは手や指に紙が触れ、破れる音も発生します。これにより触覚と聴覚が刺激されます。また、紙を破ることは単純でありながら、子どもたちに「やぶれた」という成功体験をもたらし、達成感を感じさせることができます。

 

③バルーンバレー

風船を床に落とさないようにする、ボールではなく風船を使用する遊びです。兄弟姉妹が一緒に楽しむこともできます。目で風船を追いかけることや手で風船を触ることなど、さまざまな感覚が刺激されます。

 

④ボール運び

ボール運びは、おたまやお手玉を使って玉を落とさないように運ぶ遊びです。子どもたちのバランス感覚や集中力を向上させ、楽しみながら身体的なスキルを発展させることができます。

 

⑤福笑い

福笑いは、配置の記憶、パーツの向きの把握、正しい場所への配置といった動作から成り立っています。この遊びは、視覚、触覚、固有受容覚といった感覚を鍛えることができます。

 

⑥こま回し

ひもを巻く、投げる、操作するといった動作から成り立つ遊びです。手の器用さや指先の感覚の向上、手と目の協調性を高める効果など、さまざまなポジティブな影響を得られます。

 

⑦シーツブランコ

シーツやタオルを使用して子どもを包み込んで揺らしたり引っ張ったりする遊びは、体の感覚やバランス感覚を刺激することができます。子どもたちは自分の体の位置や動きに気づくことができ、同時に包まれることで安心感や心地よさを体験することができます。

 

⑧片足立ち・片足けんけん

平衡感覚を養い、バランスを保つ特訓に非常に効果的です。この活動を通じて、体幹の強化や姿勢の安定性が増し、バランス感覚が向上します。

 

⑨手押し車

一人が足を持ち、持たれた方が手で移動していく二人一組で協力する昔からある遊びです。腕の筋力、腹筋、持久力も鍛えることができます。

 

⑩まねっこ遊び

他の人のポーズをまねる遊びは、シンプルでありながら非常に楽しく、視覚や運動神経を鍛えることもできます。

 

 

お外でみんなと!集団で楽しみたい感覚統合遊び例7選

集団で楽しめる感覚統合遊びを7つご紹介します。簡単に取り入れられるものばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。

 

坂のぼり競争

療育において軽い運動はとても効果的。そういった意味で、坂のぼり競争はとても最適な遊びです。足腰の筋力や持久力を養うのに効果的なことはもちろん、脳を活性化させることができます。

 

芝滑り

芝滑りは、揺れるものやスピード感があるものを利用して前庭覚を刺激する有益な遊びの一つです。身体の動きや位置に関する感覚、バランス感覚が向上し、姿勢の安定性が養われます。

 

飛び石

跳ねることは、体幹やバランス感覚の鍛錬に効果的です。また、飛ぶ際に様々な物を見ることで目のトレーニングや集中力の向上にも繋がります。

 

羽根つき・バドミントン

羽根つきやバドミントンでは、高速で動く羽根やボールを追いかける必要があります。これによって視覚の追視力(物を目で追う力)が向上し、素早く移動する対象に集中できるようになります。

 

カラーコーン倒し

カラーコーン倒しは、ボールを投げてカラフルなコーンを倒すシンプルなゲームです。ボールを的確に投げるためには距離感や力の加減などの正確な感覚が必要ですので、楽しみながらそうした力を磨くことができます。

 

だるまさんがころんだ

子どもたちが歩いたり走ったり、指示に従って止まったり姿勢を保持したりする伝統的な遊びです。自分の体をコントロールする能力を伸ばし、バランス感覚や姿勢の保持能力を発展させることができます。

 

サーキット遊び

マット・ブロック・鉄棒・平均台などの様々な運動を組み合わせ、応用的な動作を円滑に行えるように促す感覚統合療法の一つです。それぞれの運動に特有の目標があり、子どもたちは楽しみながらさまざまな能力を向上させられます。

 

 

まとめ

日常の生活や遊びを通じて、楽しく感覚統合を向上させられることを知っていただけましたでしょうか。すぐにでも取り入れられるものばかりだったと思うので、ぜひ実際に子どもたちと遊んでみてください。

また、本格的な指導を受けたい場合は、近隣の療育施設などにお問い合わせしてみてくださいね。

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