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〜わかりやすくカンタンな「療育」の話〜

子どもの学習障害(LD)とは?症状や行動の特徴、子どもとの接し方を解説

●そもそも学習障害(LD)とは?

学習障害(LD)とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」といった能力のうち、1つ以上に困難が生じる発達障害の一種です。現在、学齢期の子どものうち5〜15%(成人では約4%)に学習障害(LD)があると言われています。35人のクラスであれば、1〜5人程度に何らかの学習障害(LD)がある計算です。
文字通り、学習に困難をきたす障害ですので、就学前は気づかれないことも多く、小学生になったタイミングで発覚する場合が非常に多いのが特徴です。また、学習障害(LD)と一口に言っても様々な症状があり、大きくは以下の3つに分類されます。

 

・ディスレクシア(読字障害)

字を読むことに困難がある障害です。「文字の読み方がわからない」タイプと「文字の形がわからない」タイプがあり、それぞれ音韻処理不全、視覚情報処理不全と呼ぶこともあります。

 

具体的な症状:

・文字の読み方がわからない(音韻処理不全)
文字と音がひも付かない/単語が理解できない/音を記憶できない etc

・文字の形がわからない(視覚情報処理不全)
文字がにじんだり、ぼやけたりして見える/鏡文字に見える etc

 

・ディスカリキュリア(算数障害)

数字の概念が理解できなかったり、数値を覚えるのが極端に苦手だったりします。読み書きには問題がない場合など、計算・推論だけが極端に苦手なケースも多いです。

 

具体的な症状:

簡単な計算ができない/九九が覚えられない/図形が理解できない/数の大小が分からないetc

 

・ディスグラフィア(書字障害)

文字を書くことに困難が生じる障害です。極端に文字をうまく書けない場合や、何度注意しても句読点を忘れてしまう場合には、ディスグラフィアを疑ってみてください。

 

具体的な症状:

文字の大きさに均一性がない/ノートの罫線やマス目に沿って書けない/鏡文字になってしまう/漢字を書けない/句読点を忘れるetc
※ただし、幼少期では誰にでも起こる間違いなので、上記のような事象があった=ディスグラフィアではありません。

 

 

●学習障害(LD)の年齢別のの子どもの行動特性

周りの子と比べて勉強が遅れていると感じると、学習障害(LD)を心配される保護者さまもいらっしゃいますが、単に成長が遅いだけ、という場合も少なくありません。ここでは学習障害(LD)を正しく疑うために、年齢別に学習障害(LD)の子どもたちに見られる事象を見ていきましょう。

 

・幼稚園・保育園児

学習を本格的にスタートしていないため、学習障害(LD)を疑うような症状は見られないことが多いです。ですが、以下のような兆候が続く場合は、注意して子どもたちの観察を続けてください。

 

幼少期に見られる兆候:
言葉や文字を覚えるのが周囲より遅い/折り紙や積み木がうまく扱えない/身体の使い方が不自然 etc

 

・小学生

学習障害(LD)の特徴が多く見られるようになる時期です。同級生と比べて、極端に読み・書き・計算などに困難が見られる場合は、専門機関に相談してみるのも良いでしょう。また、勉強ができないことを怒られたりからかわれたりすることで、精神的なストレスを抱えてしまう子もいます。ひどい場合には不登校や引きこもりに繋がるため、注意深く子どもの様子を観察してください。

 

●読字障害
繰り返し練習してもひらがなや漢字が読めない/指で追わないと文字が読みにくい/音読を嫌がるetc

●算数障害
数字を覚えられない/時計が読めるようにならない/繰り上がり、繰り下がりの理解ができないetc

●書字障害
板書ができない/マスに合わせて文字が書けない/鏡文字になってしまう/文字を書くのを嫌がるetc

 

・中学生・高校生

苦手なことがより明確になってくる時期です。成績はいいけれど文字を書くのは苦手など、特定のことのみに困難が発生する場合もあります。中学生にもなると、学習障害(LD)を隠しながらうまくやり過ごすこともできるようになってくる反面、人知れずストレスを抱えている場合もあるので注意が必要です。

 

●読字障害
小学校で習った漢字が読めない/英単語が覚えられない/極端に長文読解が苦手 etc

●算数障害
計算問題はできるが、文章問題になると式を立てられない/極端に図形問題が苦手 etc

●書字障害
長い文章(作文や小論文)が書けない/bとdを反対に書いてしまう etc

 

 

●学習障害を持つ子どもの症状別の教育方法

まずは子ども本人に「何に困っているか」を直接聞いてみてください。さらにご家庭での子どもの様子をしっかりと観察し、保護者さまからの目線も合わせて、どういったことに困っているかをより具体的にしていきましょう。やみくもに勉強を教えたりするのではなく、まずは子どものことを理解することが大切です。

 

・子どもの能力を理解する

障害によって頑張ってもできないことがある、と周囲が理解することも重要です。また、できないことをからかったり叱ったりすることは、うつ病や不安障害に繋がる可能性もあるため絶対にやめてください。子どもは障害によって、大きな不安やストレスを抱えている場合もありますので、工夫次第で乗り越えられる障害であることを教え、励ましながら、学習へ苦手意識を持たないようにサポートをしてあげてください。その上で、勉強をどう教えていけばいいのか、障害の症状別にいくつかの工夫をご紹介します。

 

・文章読解が苦手な子ども

定規を利用して、飛ばし読みを改善:

読む箇所だけ見えるように定規を当てながら読むと、飛ばし読みを改善できるようになることがあります。

 

マーカーを使って、文章を滑らかに読めるように:

一文字ずつたどたどしくしか文章を読めない場合には、文節や言葉のまとまりごとにマーカーで「/」などの区切りを入れてみてください。言葉のまとまりを意識しやすくなり、滑らかに読めるようになることがあります。

 

絵本で文字と音の意味を合致させる:

文字と音の意味がなかなか合致しない場合には、絵本を読むことがおすすめです。絵によって文字の意味がイメージしやすく、さらに音読することで、音も合致させることができます。

 

読みやすい書体に変えてみる:

タブレットやスマートフォンの文字を、教科書体などに変えてみてください。読みやすいフォントに変えることで、文字の正しい判別をサポートできます。

 

・計算が苦手な子ども

自分で九九の表を作ってみる:

「くしさんじゅうろく(9×4=36)」など、聞いて暗記する方法は、聞く力が弱い子には向いていません。そのため、「きゅうよんさんじゅうろく」など通常の数字の読み方で覚えたり、九九の表を自分で作りながら覚えたりする方法がおすすめです。

 

日常生活と結びつける:

数の概念の理解が難しい子には、まず日常生活と数を結び付けてみてください。例えば「買い物のお釣りをレシートと照らし合わせる」「友達とお菓子を分ける」などです。

 

・文字を書くことが困難な子ども

マス目大きめ、十字の補助線入りノートを選ぶ:

ひらがなや漢字などの文字を構成するパーツを認識しづらい子には、文字の形をわかりやすくするノートを選んであげてください。十字の補助線入りのノートであれば、文字を4つのパーツに分解して、それぞれをなぞり書きしてみることからスタートするのもおすすめの方法です。

 

漢字の練習は、意味がわかる→読める→書ける、の順で:

漢字の練習は、意味がわかる→読める→書ける、の順にできるようになっていくことを意識してください。やみくもに覚えようとするよりも、「読み」と「書き」に分けて練習することで効果が高まります。

 

 

●学習障害(LD)の原因とは

目や耳などの感覚器官からの情報を受容し、整理する脳機能の障害だと考えられていますが、学習障害(LD)の詳しい原因は、まだ分かっていません。少なくとも、脳機能の障害が原因ですので、しつけや生活環境などの問題ではありません。

 

 

●学習障害(LD)は治療できる?

現在、学習障害(LD)を根本的に治療できる薬はなく、療育によるアプローチが一般的です。療育とは、障害を持った子どもたちが社会的な自立を目指すための様々な支援のこと。学校のように画一的に全員が同じことを同じように教わるのではなく、一人ひとりの特性に合わせたオーダーメイドのカリキュラムに沿って様々なことを学んでいきます。

 

 

●子どもの学習障害(LD)で困ったら相談をしよう

ご家庭内で留めるのではなく、まわりに理解を求めたり、様々な支援を積極的に利用したり、相談できる人を増やしていくことも重要です。

 

・学校の先生と相談する

学校と、合理的配慮について相談することはとても重要です。合理的配慮とは、障害のある子どもが他の子どもと平等に教育を受けられるように学校が適切な配慮を行うこと。
例えば、文字を読むのが困難な子であれば、プリントの文字を大きくする、音声読み上げソフトを使用するなどです。他にも、テストを別室で受けさせてもらう、テスト時間を伸ばしてもらうなども合理的配慮の一例です。子どもにどんな配慮が必要で、学校としてどんなことであれば実現可能かを、相談しながら進めていきましょう。

 

・通級指導教室に通う

通級指導教室とは、障害のある子どもに合わせた授業を受けることができる制度のことです。普段は通常の学級で授業を受け、通級指導教室の時間だけ別で授業を受けます。自分が苦手とする部分の学習について、専門的に指導を受けることが可能です。ただし、全ての学校にあるわけではないため、在籍している学校にない場合は、通級指導教室の時間だけ他の学校に移動し授業を受けることになります。興味のある方は、まずは在籍校の担任、スクールカウンセラーに相談してみましょう。詳しいことがわかるはずです。

 

・近くの特定相談支援事業者に相談する

子どもの障害の特性や保護者の要望などを聞きながら、受けるべき障害福祉サービスを考え、サービス等利用計画を作成してくれるのが、特定相談支援事業者です。どんな福祉サービスを受けるべきか、なかなか自分で判断するのは難しいと思いますので、一度相談してみると良いでしょう。

 

・近くの療育施設に相談する

学習障害(LD)は、早期発見、早期療育が大切だと言われています。そのため、児童発達支援や放課後等デイサービスを行っている療育施設に相談してみるのもオススメです。施設によって療育方針や提供しているサービスも違うので、我が子に合う施設を見つけてください。

 

 

●まとめ

今回は、学習障害(LD)についてお話ししてきました。ここまでお話しした通り、学習障害(LD)は工夫次第で乗り越えられる障害です。まずはしっかりと子どもの困りごとや悩みを理解することから始めてください。また、幼稚園や学校の信頼できる先生に相談してみたり、地域の障害福祉課に問い合わせてみたり、専門機関で検査・診断を受けてみるのもいいでしょう。
保護者・学校・地域・専門機関が連携しながら、子どもが生きづらさを感じないような環境を作っていくことが大切です。

 

私たち、株式会社ダンデライオンは千葉市で児童発達支援・保育所等訪問支援・放課後等デイサービス「BRIDGE」を運営しています。

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スタッフの採用も随時実施しておりますので、ご興味のある方はぜひHPもあわせてご覧ください。

 

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