発達障害は、脳機能の発達に関係する障害です。
生まれつき脳機能の発達に偏りがあり、日常生活や社会生活に支障をきたす可能性があります。
この記事では、発達障害の症状や特徴、種類などを分かりやすく解説します。
また、千葉市内で発達障害のあるお子さまを育てるご家庭が受けられる支援やサービスなどもご紹介。
お子さまの発達が気になる人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
発達障害とは?
発達障害は、生まれつき脳の働きに障害を持っている状態のことです。
幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がありますが、外見からは分かりにくいでしょう。
また、発達障害の種類によって特性や程度が異なる上に、知的障害を併せ持っているケースもあります。
周囲の大人が気づいて、正しい支援つなげることが大切なのです。
発達障害は、放置することで大人になってからの生き方に支障が出ることもありますので、幼少期のうちから適切なアプローチを心がけましょう。
発達障害の種類
発達障害の種類には、以下の3つがあります。
・ASD(自閉症スペクトラム症)
・ADHD(注意欠如多動症)
・LD(学習障害)
この3つの発達障害はすべてに関連性があり、違いや差がグラデーションのようになっています。
そして、このうちASDとADHDに関しては、知的障害が併存している可能性もあります。
どれか1つの特性が突出して現れるわけではなく、部分的にすべての発達障害に該当することもあるでしょう。
このように、発達障害は「グレーゾーン」も含めて明確なボーダーラインがないのです。
※「グレーゾーン」については後述します
それでは、上記3種類の発達障害について詳しく解説します。
ASD(自閉症スペクトラム症)
ASD(自閉症スペクトラム症)は、かつて「自閉症」と呼ばれていた発達障害の種類です。
2022年より、自閉傾向の特性や疾患を統合することになり「自閉症スペクトラム症」と呼ばれるようになりました。
ASDの特徴は、以下の通りです。
・目を合わせて会話をするのが苦手である
・言葉の発達に遅れがみられる
・環境の変化やイレギュラーに抵抗がある
・相手の気持ちを読み取るのが苦手である
・特定の音や光に過敏に反応する
・強いこだわりがある
・一定の動きを繰り返す
上記の特性から、日常生活で困難を感じやすい発達障害の1つで、知的障害を伴うケースがあります。
ASDは幼少期からサインが分かりやすく、保護者や保育園・幼稚園の先生によって気づきやすいといわれています。
しかし、特性の現れ方には個人差があるため、大人になって自身の生きづらさを感じ、ASDと診断される人もいるのです。
ADHD(注意欠如多動症)
ADHD(注意欠如多動症)は、かつて「注意欠陥・多動性障害」と呼ばれていた発達障害の種類です。
ADHDは主に12歳までに症状が現れるとされており、ADHDの中にも大きく分けて3パターンの特性があります。
- 多動・衝動性が強いタイプ
- 不注意傾向が強いタイプ
- 混合タイプ
これらの特性を細かく解説すると、以下のようになります。
・話を集中して聞けない
・忘れ物やなくし物が多い
・じっとしているのが苦手である(落ち着きがない)
・おしゃべりが止まらない
・順番が待てない
昨今、多くの芸能人やYoutuberたちが「ADHDと診断された」と公表していますね。
タレントで作家の黒柳徹子さんもADHDを持っているとされ、著書『窓ぎわのトットちゃん』の中で、自身のADHDの特性を描いています。
このように、ADHDは昔から一定数の人数がいたとされています。
しかし、ADHDという呼び名は2013年、アメリカの精神医学会が改定した診断基準の中で生まれました。
そのため、昔はADHDをもつ子どもも、健常児として扱われていたのですね。
LD(学習障害)
LD(学習障害)は、特定の学習機能で困難がみられる発達障害の種類です。
LDの中には、以下3つのパターンがあります。
・読むことや読解力に関して困難がある
・書くことに困難がある
・計算することに困難がある
LDの診断はASDとADHDに比べて限定的であり、学習において困難を感じている要因が以下に該当する場合のみ、診断が下ります。
・知的障害を伴わない
・学習の遅れが経済的要因、環境的要因ではない
・視覚や聴覚の障害がない
発達障害について意外と知られていないこと
発達障害の3種類についてお伝えしました。
発達障害は比較的新しい言葉であるがゆえ、その知識や情報がまだまだ偏っていることがあります。
ここからは、意外と知られていない発達障害の知識についてご紹介しましょう。
お子さまの発達が心配な場合、発達障害のさまざまな可能性や種類を知っておくと、よりお子さまに合った支援方法が見つかるでしょう。
障害が併存する可能性がある
発達障害は、上記でご紹介した3種類のいずれか1つに該当するのではありません。
診断によっては「あなたはASDです」「あなたはADHDです」と断定されることもありますが、複数の発達障害が併存することがあります。
ASDとADHDの特性が入り混じるかたちで出現することもあれば、てんかんやチック症、吃音などほかの障害を併存するケースも起こりやすいでしょう。
また、ASDとADHDの場合には知的障害を併せ持つ可能性があります。
お子さまの様子や困りごとを観察し、早めに支援につなげることが必要です。
「グレーゾーン」がある
発達障害には、いずれの種類にも診断されない「グレーゾーン」という領域が存在します。
発達障害の傾向はあるけれども、診断基準は満たさない。
そんな曖昧な状態を「グレーゾーン」と呼んでいます。
発達障害の診断は、明確な数値で表されるものではないため、見極めが難しいお子さまもいるのです。
「グレーゾーン」というと、以下のようなイメージを抱くのではないでしょうか。
・発達は緩やかだが厳密に発達障害とはいえない
・発達障害よりも健常児に近く困りごとが少ない
確かに、グレーゾーンのお子さまは発達障害とは診断できない知能をもつので、扱いとしては健常児と同様になります。
しかし、グレーゾーンは困りごとが少ないかというと、そうではありません。
グレーゾーンのお子さまは「発達障害の傾向はあるが、健常児として扱われる」ため、日常生活のハードルが必要以上に上がってしまうのです。
グレーゾーンのお子さま本人も、通常級でまわりのお友だちと同じように日常生活をこなさなければいけないというプレッシャーに、苦しむこともあるでしょう。
弊社ダンデライオンで展開している療育サービス【BRIDGE】では、発達障害の診断が下りない「グレーゾーン」のお子さまもお預かりしています。
グレーゾーンのお子さまも、発達障害の診断が下りたお子さまも、日常生活や学校生活を充実させたいという親御さんの思いは同じ。
すべてのお子さまにとって過ごしやすい社会になるよう、BRIDGEはたくさんのお子さまにお会いできることを楽しみにしています。
3種類の発達障害をくわしく解説
それでは、3種類の発達障害について詳しく解説していきましょう。
ここでは、それぞれの兆候やサインについてご紹介するとともに、どのような困りごとを抱えているか解説します。
お子さまの発達が心配な場合、それぞれの発達障害にみられるサインをチェックしてみましょう。
お子さまがいずれかの発達障害である場合、今後のかかわり方や療育を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
ASD(自閉症スペクトラム症)の場合
ASDの場合は、幼少期に保護者や保育園・幼稚園の先生が気づいて、発覚することが多くあるとされています。
社会性やコミュニケーションにおける課題が多く、早く気づいて支援や療育につなげることで、本人がより生きやすくなることが期待できます。
サイン
ASDのサインは、以下の通りです。
・目が合わない
・お友だちに興味を示さない
・言葉が遅い
・1人遊びが多い
・指さしをしない
・人のまねをしない
・名前を読んでも振り向かない
・表情が豊かでない
・落ち着きがない
・こだわりが強い
・特定の行動を反復する
・かんしゃくが強い
・音や光に敏感である
・水が極度に苦手である
・人ごみを嫌う
上記が、主に未就学児のときにあらわれやすいサインです。
これらの特性が、学齢期になると以下の困りごとにつながる可能性があります。
困りごと
ASDの困りごとは、以下の通りです。
・友達ができにくい
・空気を読めない
・交友関係が一方的になる
・相手の気持ちを想像するのが苦手である
・教室やクラスの変化に適応しづらい
・抽象的な指示(「あれ」や「昨日のやつ」など)が理解できない
これらの困りごとは、未就学期には求められないコミュニケーション力のため、就学前には困りごととして現れにくいでしょう。
しかし、小学校に入学し友人関係を自分で築こうとしたとき、ASDの特徴により過ごしづらさを感じてしまうことがあります。
適切な支援を受けないまま大人になると、今度は社会生活や職場での人間関係にも影響し、トラブルに発展する可能性も。
ASDをもつお子さまがのびのび過ごせる幼少期にしてあげるために、適切な時期に適切な支援をすることが大切です。
ADHD(注意欠如多動症)の場合
ADHDの特性は12歳までに出現するとされていますが、未就学期にADHDの傾向が確認されても、幼児期の特徴と似ているため判別がつきにくいという難点があります。
「子どもだから」「年齢とともに成長するはず」と判断され、見落とされやすい発達障害の1つなのです。
そのため、ADHDは大人になって自ら診断を受け、発覚するパターンが多くあります。
サイン
ADHDのサインは、以下の通りです。
・落ち着きがない
・かんしゃくが強い
・活発である
・人の話を聞くのが苦手である
ADHDは「注意欠如多動症」という名前から、注意散漫になったり落ち着きがなかったりする特性があります。
とはいえ、幼い子どもは注意散漫で落ち着きがないこともよくありますよね。
そのため、ADHDはサインが出ていても診断するのが難しい発達障害でもあるのです。
しかし、学齢期になると次の困りごとに直結する可能性があります。
困りごと
ADHDの困りごとは、以下の通りです。
・授業に集中できない
・忘れ物やなくし物が多い
・時間やお金の管理が苦手である
・ケアレスミスが多い
・提出の締切や約束が守れない(忘れてしまう)
・片付けができない
・衝動的な行動が多い
・危険を顧みずに行動し怪我が多い
ADHDのサインが現れたときには「子どもの特徴と似ている」と思われがち。
しかし支援を受けずに学齢期を迎えると、学校生活での困りごとが増えていきます。
そして、大人なって社会に出たり一人暮らしを始めたりすると、ADHDの特性による影響がさらに膨らんでいくのです。
LD(学習障害)の場合
LDは学習障害なので、学習が本格的に始まる就学後に特徴が現れやすい発達障害です。
しかし、幼児期にみられるサインもあります。
以下のサインがみられた場合、LDを疑って診断してみるというのも方法の1つでしょう。
サイン
LDのサインは、以下の通りです。
・言葉が遅い
・数を数えるのが苦手である
・手先が不器用である
LDは学習障害なので、未就学期に特性を把握し診断を受けることが難しいとされていますが、上記のサインは幼児期でも確認することができます。
LDと診断された場合、次の困りごとが課題となるでしょう。
困りごと
LDの困りごとは、以下の通りです。
・読むのが遅い
・読んでも内容を理解できない
・誤字脱字が多い
・数の概念が理解できない
・計算するのが遅い
・メモを取るのが苦手である
・マニュアルを読むのが苦手である
上記の困りごとのうち、前半は学齢期で課題となるもの、後半は社会生活で課題となるものです。
文字の読み書きや簡単な計算は、大人になっても使い続ける基本的なスキル。
LDは知的障害が視力・聴力の障害がない場合に診断されるため、周囲からは「なぜ他のことができるのに読み書きだけできないのか」と、理解を得られないこともあります。
千葉市の発達障害の相談先
千葉市でお子さまの発達障害が疑われる場合や、お子さまの発達が心配な場合には、以下の相談先に問い合わせみましょう。
・市役所窓口
・発達障害者支援センター
・特別支援教育サービス
・子育て支援センター
・家庭児童相談室
・児童相談所
・保健センター
・療育センター
・小児科
発達障害である場合、また疑わしい場合には、福祉サービスや発達支援サービスを受けることができます。
未就学期のお子さまであれば児童発達支援サービス、小学生以降であれば放課後等デイサービスなど、年齢によって受けられる支援はさまざまです。
弊社が展開する療育サービス【BRIDGE】では、事業所によってさまざまな特別支援教育を提供しています。
また、福祉サービスを受ける際には「受給者証」という証明書が必要。
受給者証は、発達障害の診断がなくても申請可能ですが、申請するには諸々資料の提出が必要になります。
親御さんで資料を用意するのが難しい場合「計画相談支援サービス」という、代理で資料を作成・提出するサービスもあります。
BRIDGEでも計画相談支援サービスを提供していますので、お気軽にお問い合わせくださいね。
まとめ
発達障害の症状について解説しました。
発達障害は、現代でこそよく見聞きするようになりましたが、昔から一定数存在していたとされる脳機能の障害です。
まだまだ正しく理解されていない部分が多く、中には「通常級にいれば追いつく」「男女差もあるから発達障害ではない」と、安易に判断してしまうケースもみられます。
しかし、発達障害の症状を抱えて人生を生きていくのは、お子さま本人ですよね。
お子さまが、これから社会に出て自分らしく、幸せに生きていくためには、適切な時期に適切な支援をすることが何より大切なのです。
弊社BRIDGEは、千葉市内で発達障害をもつお子さまと、そのご家庭を支援する療育サービスです。
お子さまのできることを増やし、自信を引き出し、明るい未来と広い社会へお子さまを送り出すお手伝いをさせていただきます。
お子さまの発達で気になることがありましたら、ぜひBRIDGEにご連絡くださいね!
株式会社ダンデライオンでは、子どもたちの可能性を広げる架け橋となることを目指した療育施設「BRIDGE(ブリッジ)」を千葉県内で9施設展開しています。
「子どもたちへの可能性を導く架け橋となる」を理念に掲げ、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出すために、家族や社会とのつながりを大切にしています。
言語聴覚士、臨床心理士、公認心理師、作業療法士、理学療法士、保育士など多様な資格を持つ指導員が全国の特別支援学校や療育施設で実践されている療育技法「太田ステージ」に基づいた指導を行っています。
教室までお越し頂ければ、子どもたち一人ひとりに合わせたプログラムや療育の様子をご覧いただけます。BRIDGEへ、ぜひ1度ご見学にいらしてください!